notifications経済金融データ」で「マクロ経済指標」「マーケット指標」PDFをダウンロードできます。

notificationsツイッター「経済は連想ゲームだ」を配信中です。

『超入門 5分で日本経済一周の旅ガイド』注釈

角川総一オフィシャルサイト

『実況ライブ 日経電子版の歩き方 88のマーケットチャートを連想ゲームで全チェック』注釈

角川総一オフィシャルサイト

『もう古い常識には騙されない 8つの経済常識・新旧対照表』注釈

角川総一オフィシャルサイト

<< マーケットデータ更新【日次(2013年1月1日〜2018年2月2日)と月次(2007年1月〜2018年1月)】 | ホーム | マーケットデータ更新(日次)【2013年1月1日〜2018年2月9日】 >>
2018年02月08日(木)|22:50|考えるグラフ

ドル円だけで為替相場を読むと世の中を読み間違える

日本株は為替からの影響を受けにくくなってきた、という。これまでのように「円高=株安」、「円安=株高」という常識はもう使えないというのである。


たしかに過去1年のトレンド(基調)で見る限りその通り。それどころか、図が示すとおりむしろ関係は逆転している。このグラフは私達の常識を完全に裏切る。


株価が暴落する直前の1月末までの13ヶ月間では、日経平均株価が21%上がっている一方、ドル円相場は116円から109円まで6%の円高なのだから。さてこの間の円相場と日本株の関係をどう読めばいいのか?


為替相場、といえば「ああ円相場ね」と直感的に反応する人が大部分だろう。だってNHKはもちろん、民間放送だって定時ニュースの最後には、かならず日経平均とともに円相場を伝える。「午後5時現在の終値は1ドル=109円52銭でした」というように。


つまり円の対外価値を測るに際してもっぱらその尺度を「米ドル」に求めているのだ。世界に冠たる米国の通貨なんだから、というのがその理由とされる。


しかし、米国の覇権は明らかに凋落。オバマ前大統領は2016年の一般教書演説で「世界の警察官であることを辞める」と宣言。現トランプ政権もアメリカ・ファーストを謳い、国際秩序の維持のために調整役を担うことから降りることを明言した。


通貨面で見ても1999年のユーロの誕生がその1つの表れだし、2016年10月1日に中国人民元がIMFの特別引き出し権(SDR)のバスケット通貨に採用されたことも、米ドルの相対的な地位の低下を示すものだ。


あるいは長らく我が国にとり最大の貿易相手国だった米国のシェアは着実に低下。1995年には対米米貿易のシェアが25.2%、中国+香港が11.4%だったのが、2016年では各15.8%、24.4%となった。


であれば、円の対外的な価値を測るに米ドルを尺度にして測るだけ、というのは経済実態にも合わないのではないか?


こう考えたうえで、改めて過去1年余りの日本株の動きを、総合的な円の通貨価値を示す実効為替レートとの比較で見ればどうか。もっとも身近なところで手に入る日銀の円インデックスを使ってグラフを描いてみた。

円インデックスだと円安=日本株高
ここで使った円インデックスとは、BIS(国際決済銀行)が実効為替レート指数を算出している手法を踏まえ、日銀が毎日算出、公表しているデータ。日経新聞の朝刊、マーケット欄でチェックできるし、もちろん日銀のサイトにもある。主要貿易相手国60カ国の通貨との相対的な関係を、貿易額で加重した上で算出される合成指数だ(1999年1月4日=100)。


さてどうか。これだと過去1年余りの間に、日経平均が21%上がっている間に、円インデックスは明らかに円安方向に動いている。つまり、円安と日本株高が同居している。つまり円が安ければ、株は上がるというこれまでの常識はOKだ。


なぜこんなことが起きたのか?簡単な話だ。円はドルに対しては上がったが、それ以外の殆どの通貨に対しては下がった。だから「ドル安・円高」だったのに、円の総合的な体対外価値を示す「円インデックスは下落した」のである。


さて、ここまでくれば過去1年間は「円高」だったと評すべきだろうか。それとも「円安」と見たほうが良いのか?


すでに、ドル円相場だけで円の対外価値を認識する時代ではなくなってきたのだと思う。たしかに米ドルは世界貿易においては最も多く用いられている通貨=基軸通貨=には違いない。しかし、世界が政治的にも経済的にも多極化しつつある中で、ドル円相場=円相場とのみ認識すると、世の中を読み間違いかねない。


考えても見ればいい。私達は一般に「円相場=ドル円相場」とみなしているのだが、では、米国民は自国通貨であるドルの対外価値をどう測ればいいのか?もちろん対円ではないし、対ユーロだけでもあるまい。


今だったら対中国との貿易不均衡を問題にしている以上、対人民元が強く意識されているだろうし、あるいは隣国であるカナダドル、メキシコペソとの交換比率(為替相場)なども、重要視せざるを得ないだろう。だがしかし、単一ののデータとしてドルの対外価値を見るには、以上の国々をはじめ、主要な貿易相手国通貨を参照した上で算出した指数で見ざるを得ない。


私達が無邪気に?「ドル円相場=円相場」と認識しているような感覚では、米国民は自国通貨の対外価値を測ることはとてもできないのだ。


NHKほか多くの放送局、日経新聞以外の多くの新聞紙などでも、為替相場についてはドル円相場とともに、円インデックスを日常的に報じればどうか。

このエントリーをはてなブックマークに追加
ブログのカテゴリー
記事総数:364件
最新の記事
月別アーカイブ
角川総一
金融教育、金融評論家。
(株)金融データシステム代表取締役。1949年大阪生まれ。
プロフィール
連絡先
「知るぽると(金融広報中央委員会)」掲載記事
経済指標の見方
金融指標の見方

「知るぽると」ホーム
新 刊


角川総一の本
角川総一の本
角川総一の本
角川総一の本
角川総一の本
角川総一の本
角川総一の本
サイト内検索
RSS
Twitter 経済は連想ゲームだ! Facebook