notifications経済金融データ」で「マクロ経済指標」「マーケット指標」PDFをダウンロードできます。

notificationsツイッター「経済は連想ゲームだ」を配信中です。

『超入門 5分で日本経済一周の旅ガイド』注釈

角川総一オフィシャルサイト

『実況ライブ 日経電子版の歩き方 88のマーケットチャートを連想ゲームで全チェック』注釈

角川総一オフィシャルサイト

『もう古い常識には騙されない 8つの経済常識・新旧対照表』注釈

角川総一オフィシャルサイト

グラフギャラリー(総務省景気指標ダッシュボード版)

角川総一オフィシャルサイト

<< タンゴバイオリンのミニライブと体験会へ参加してきたのだ | ホーム | アベノミクスの落とし穴(7) >>
2013年06月20日(木)|10:52|1枚のグラフから

米国はなぜ急速な円安に対して抗議しなかったのか?

 昨年11月14日、当時の民主党政権が解散・総選挙を決めると同時に円安、株高が始まった。今年5月22日に至るまでにドル円は80円から一時は103円台へ、日経平均株価は8600円から1万5600円台まで急伸した(その後は、ともに3~4割戻したのは周知の通り)。

5月下旬までの急速な円安・株高の過程で折に触れ語られたのが「このまま円安が進めば、遠からず米オバマ政権は黙っちゃいないよ」という懸念だった。しかし、今日に至るまで米政権からはほとんど円安牽制は聞かれない。せいぜい自動車業界からの抗議が報じられた程度だ。なぜか?

5月下旬までの急速な円安・株高の過程で、折に触れ語られたのが「このまま円安が進めば、遠からず米オバマ政権は黙っちゃいないよ」という懸念だった。しかし、今日に至るまで米政権から明確な円安牽制はない。せいぜい自動車業界からの抗議が報じられた程度だ。なぜか?

最大の理由は、我々がイメージする「円安」が必ずしも米国側からみて「ドル高」ではないことにある。『だって円安は対ドルレートでしょ。であれば、ドルは高くなったのでしょ』。全くその通り。しかし、ここで問題なのは米国はドル相場の変動について、必ずしも「対円」を基準に見ているわけではないという点だ。

現オバマ政権は、5年で輸出倍増計画をぶち上げた。そのためには「ドル高修正」あるいは「ドル安」政策が必要だ。だからと言って必ずしも「対円でドル安」である必要性はない。米国の輸出総額に占める対日輸出比率は、すでに4.5%に過ぎない。過去10数年の間にシェアは半減した。ところが日本からみれば対米輸出比率は17.6%にも上る。



輸出面では、米国の日本に対する依存度はすでに日本の米国依存度の4分の1に過ぎない。輸出入全体でみても、日本の対米貿易の全世界向け貿易に占めるシェアは12.8%であるのに対して、米国の対日貿易依存度は5.7%に過ぎない。

製造業の復興を願う米オバマ政権にとっては、「ドル円相場」の重要度は下がる一方であり、「総合的なドル相場」の方がはるかに重要だ。そしてそれを示すのがドルの実効為替レートだ。

図にみる通り、貿易額で加重して算出されたドルの実効レートは昨年半ばの104.6から直近では101台にまで下がっている(ドル安)。円が急落し始めた昨年11月からわずかにドル高に振れているが微々たる変化だ。つまり、米国の総合的な輸出競争力はむしろ高まってきているとさえいえる。

その理由の1つは米国にとって貿易依存度が急速に高まっている中国人民元相場の対ドルでの上昇ピッチが速くなっていること。これはおそらく中国にとって資本流出懸念が高まってきていることが背景にある。さらには米国にとり輸出総額の3分の1を占めるカナダ、メキシコとの為替相場はほとんど変化がないし、OPEC諸国との為替レートも事実上ペッグされているので動かない。

我々は「急速な円安・ドル高が進んでいるのだから米国の輸出環境は悪化しているんだろうな」と思いがちだ。でもこんな思いは、米国にとってみれば勝手なお世話だ。我々が「円相場」という場合「米ドル」を意識しているほどには、米国が「ドル相場」という時には「日本円」を意識していない。

日米の貿易関係は「僕はこれほど彼女のことを思っているのに、彼女は僕の方を振り向いてくれない」という状況に陥りつつある。 

このエントリーをはてなブックマークに追加
カテゴリー
記事総数:475件
月別アーカイブ
角川総一
金融教育、金融評論家。
(株)金融データシステム代表取締役。1949年大阪生まれ。
プロフィール
連絡先
「知るぽると(金融広報中央委員会)」掲載記事
経済指標の見方
金融指標の見方

「知るぽると」ホーム
新 刊





角川総一の本
角川総一の本
角川総一の本
角川総一の本
角川総一の本
角川総一の本
角川総一の本
サイト内検索
RSS