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2017年05月25日(木)|11:24|1枚のグラフから

金利差、購買力平価で見ても依然として割安な円相場

現在の1ドル=111円台という円相場の水準は、日米金利差からみても購買力平価からみてもいささか安過ぎるのかもしれない。

円相場金利差で測る

トランプ政策でこれから円相場はどう動くのか?市場がとりわけ注目しているのは、長引くドル高による米国内メーカーへの悪影響を懸念するあまり、トランプ政権がドル高是正=円安牽制⇒円高圧力をかけかねないことだ。


円安といえば、アベノミクスを支えてきた最大の立役者であることに異論のある方はないだろう。これまでアベノミクスが果たした経済的なプラス成果のほとんどは円安に起因するといっても過言ではない。


何しろ80円台から一気に120円台まで急進した円安が株価を1万円から2万円台へと導き、輸出関連分野を中心に史上最高益を稼ぐ企業が続出した。そのおかげで法人税収は拡大し、財政赤字=国債の発行額は2013年以降、傾向的に減少。企業収益が拡大する中で雇用関連データも著しく回復、いまでは人手不足が懸念される業界が少なくない。以上の景気好転を支えた最大の立役者が円相場だったのだ。


さてこれからの円相場をどう見るか。新聞などで報じられる為替相場の報道は、そのほとんどが方向性をめぐる記事だ。昨今は、「米国ではこれから財政拡大・インフラ投資等で成長率が高まり、物価上昇が期待されるため、米国では利上げが年3回のペースで行われそう」⇒「日米の金利差がさらに広がりそう」⇒「もう一段の円安が進み年内には120円台の可能性も」といった論調が主流だ。しかし、現在の「1ドル=111円台の円相場は過去の水準から見てどう読むべきか」という絶対水準についての論評ははなはだ少ないのが現実だ。

為替相場を決定する二大要因といえば内外金利差と購買力平価。これらのデータとの関係からみれば、現時点の円相場の水準はどう判断できるか。

まずは金利差から。図表1は、日米の金利差とドル円相場の関係を示したものだ。ここで読みとっていただきたいことは以下の2つ。


1つは確かに金利差の変動はドル円に相当の影響を及ぼしているな、と実感していただくことだ。2つ目は、過去からの経験値から見る限り、円相場の水準が内外金利差から相当乖離していること。過去10年間でみると、現在のような内外金利差を基準にする限り、円相場の水準はいささか円安方向にぶれていることがわかる。


とりわけ2014年秋からの乖離が急だ。これは同年10月末から米国が金融緩和の停止を決めるとともに、我が国が追加緩和を発表と、政策の方向性が逆であることがはっきりした時期にあたる。しかしその後、金利差はほとんど変化していないにもかかわらず、一気に100円前後まで円高が進行した。


しかしトランプ氏が大統領選に勝利したことで、トランプ流財政拡大・インフラ投資を囃して米金利が上昇⇒内外金利差拡大で円安が進行することになった。


一方、中期的に為替相場影響を与えることを示すのが図表2で示した購買力平価対比でのドル円相場だ。購買力平価説を一言で言うと、「同じモノを異なる国、地域で異なる通貨で買う場合、その実質的な購買力は同じ値になるように通貨の交換価値=外国為替相場は決まるのが合理的」という考え方である。

170525円相場を金利差と購買力平価で測る
ビッグマックがNYで3ドル。日本で300円だったら「1ドル=ビッグマック1個=300円」という等式が成立するでしょ、ということだ。つまり、ドル円相場が1ドル=100円だったら日本人でもニューヨーカーでも3ドル=300円は同じビッグマックを買えるという意味で同じ購買力をもつでしょう、ということなのだ。中期的にはこの理屈で実際の為替相場が動くことを過去のデータは証明している。


さてそこで図2である。以上では、分かりやすいようにビッグマックという単一の消費財を取り上げたが、長年の経験から、実際の為替相場は企業物価指数ベースでの購買力の動きに収斂するように動くことが知られている。収斂するということは、基準とすべきデータからある程度乖離すれば、再びその基準データ(指数)の方向に修正される、というくらいの意味だ。


図2で言うと2011年半ばには円相場は購買力(国内企業物価指数)から計算された水準より20円近く円高方向にぶれていたのでその後それが修正され、2013年半ばには理論的な適正水準に戻っている。その後一気に20%近く円相場は円安方向にぶれたが、2016年10月には再び収れんした。しかしその後はもう一度円は安値の方に乖離している。つまり、現在は収斂すべき基準からは相当円安方向にぶれていると見ることができるのだ。


さて、以上をまとめておく。ドル円相場の絶対水準に注目する限り、内外金利差からみても、日米の購買力から見て、現在の111円台の円相場はいささか円安方向に乖離している。チャート上から見る限り、中期的には円高・ドル安に進む可能性が高いと、読める。

(本稿は「近代セールス」(近代セールス社)2017年3月15日号の原稿を加筆・修正したものである)

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角川総一
金融教育、金融評論家。
(株)金融データシステム代表取締役。1949年大阪生まれ。
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