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2016年06月10日(金)|20:56|1枚のグラフから

個人消費急減の本当の理由は人口動態の劇的変化にあり

我が国の家計消費が伸び悩んでいることが目下、安倍政権にとっては最大のリスク、いや障害だ。このことは誰も否定しない。

GDP中で最大の支出項目である家計最終消費の直近(2015年1〜3月期)の水準=299兆1365億円が、アベノミクススタート直前の2012年10〜12月期(300兆7052億円)を1.5兆円以上も下回った(実質ベース)。実質値で下回るということは消費量が減っているということ。

さらに、3月の実質家計消費は前年比でマイナス5.3%という悲惨なデータが発表されたのに次いで、4月もマイナス0.4%だ。さて、
なぜこれほどまでに個人消費が減っているのか?

世間では‐暖饒税により個人消費者は生活防衛スタンスに転じた⊆祖其發目減りしている――と説明される。もちろんこれらもその一因だが、ちょっと待て!より根本的なことを忘れてはいないか?
 
それは近年における我が国の「人口構造の劇的な変化」だ。

今、足元で我が国の人口構成は急変しつつある。昭和22〜24年生まれの団塊の世代がすでに65歳を超え、70歳に急接近するに伴い、正規雇用市場から退出、あるいは退職、退職金を手にして年金生活を始めた層が激増している。そこで何が起こっているのか?

65歳を超えて退職、あるいはそれまでの半額程度の賃金での再雇用となれば、消費を減らすのは自然だ。通勤に伴う移動がなくなれ
ば消費は減る。少なくとも日常品については人の移動が消費を促す。移動なくして消費なし、である。

またこの年齢層の多くは賃上げの埒外。2013年〜2015年のベースアップの恩恵はほぼ受けていない。社会保険料は上がる一方であり、年金受取額もマクロスライドという名の下でインフレ率以下に抑え込まれることが実感として迫る。何を隠そう、私がそうだ。

さらには、65歳以上の老齢者の人口全体に占めるシェアが近年に至り急上昇してきているはず。

以上のごとく「より多くのシェアを占めるに至った老齢者の消費支出が減少」であるのなら、日本の家計全体の消費支出減少に拍車
がかかるのは自然だ。

シェアが高まる高齢者層の消費減がGDPを押し下げる
さて、以上はいずれも仮説だ。単なるお話。ではこの仮説を何らかのデータで裏付けられないか?

やはり前出の総務省統計局の家計調査だろう。あまり報じられることはないが、実は、家計調査には「(世帯主の)年齢階級別」と
いう調査がある。これにより、世帯主の年齢別の消費金額が手に取るように分かる。

このデータをちょっぴり加工してグラフ化したものが図表1だ。世帯を年齢階級別に5段階に分けたうえで、消費支出金額の前年比の伸びを示しておいた。
目立つ55歳以上の消費減少
(クリックで拡大します)
さて、2013〜2014年にかけ順調に伸びていたシニア家計の消費支出が2015年に急速に減退していることが一目瞭然だ。2015年には、45歳以上の年齢層はすべての階級で前年比マイナス。

さらに図表2では、この家計調査における年齢階級別のシェア推移を示しておいた。65歳以上のシニア世代のシェアが加速度的に拡大してきている。特に2010年から15年にかけてのシェアアップが顕著だ。
 65歳以上の世帯シェアが急拡大
(クリックで拡大します)
より詳細な年齢階級別の元データをみると、70歳を過ぎるころから消費支出はさらに減っていく。団塊の世代が70歳代に移行するのはこれから。しばらくはシェアが高まる一方の高齢者層のさらなる消費減が日本家計全体の消費を押し下げることは避けられない。つまりGDP統計における家計最終消費は構造的に伸びない。

経済を根底から支えるのは人であり、中長期的には人口構造の変化があらゆる要素に先んじて経済に重大な影響を与える。
(以上図版データはいずれも総務庁統計局の「家計調査」による)

2016年6月10日記

*近代セールス2016年5月15日号に掲載した記事を加筆、修正したものです。
 
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角川総一
金融教育、金融評論家。
(株)金融データシステム代表取締役。1949年大阪生まれ。
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