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2014年08月15日(金)|23:00|経済データ探検隊(初級編)

経済データ探検隊 第5話 GDPの過去データの改訂を報じない新聞の不思議

GDPの過去データ下方修正で安倍政権の通期成長率は大幅に下落
注目の4〜6月期のGDP統計(第一次速報=QE=Quick Estimation)が8月13日発表されました。これを受け、各紙の夕刊はこぞって「前期比年率でマイナス6.8%減少」と大々的に報じたのですが、どの記事を見ても相も変わらず肝心な視点が欠落しているのです。
今回の4〜6月期一次速報値の発表とともに、それ以前の数値が改訂されたにもかかわらず、それを報じる記事がどこにも見当たらないのです。
GDPの速報値はQEと呼ばれることでわかるとおり、相当程度推計値を含んだ、言ってみればまだ未熟な統計なのです。2ヵ月半後に第一次速報値が発表された後、法人企業統計の発表などを待ってさらに1カ月弱後に第二次速報値が発表されます。

今年1〜3月期の統計だと、一次速報値は5月15日に、二次速報値は6月9日に発表されています。そのたびに、過去の数値にも改訂が加えられるのです。こうしてGDPデータは確度を増していくというわけです。

とりあえず今回問題にしたいのは、6月9日に1〜3月期の二次速報値が発表された時点でのそれ以前のGDPのデータが、8月13日4〜6月期の一次速報値が発表された時点でどのように改訂されたか、という問題です。以下、分かりやすいように前者のデータを「6月発表時データ」、後者を「8月発表時データ」と呼ぶことにします。

最もわかりやすいところからいうと、6月発表時データでは今年1〜3月期の実質GDP(前期比年率伸び・季節調整済み、以下同様)はプラス6.7%でした。ところが8月発表時データでは、これがプラス6.1%に改訂されたのです。さらには昨年10〜12月期のそれはプラス0.3%からマイナス0.2%に改訂されています。つまり2四半期にわたって相当大きく下方修正されているのです。

GDP改訂前後景気指標
(クリックすれば拡大します)

過去のデータが改訂されたということはとても重要な事実です。GDPの伸び率は原則として、前期比年率という基準で表現される以上、その前期までの数値が改訂されたのであれば、その事実をも考慮しなければ、最新のデータ(以上では4〜6月期のGDP伸び率)を正しく評価できないではないですか。

単純に言うと、前期の伸び率が低ければそれは絶対値が低いわけですから、次期の伸び率は相対的に高くなります。谷深ければ山高し、です。

図表1は、各四半期の前期比年率の伸び率について「6月発表時データ」と「8月発表時データ」とを比較したものです。「b-a」は各四半期の改訂値と改訂前の値の差を示しています。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2014/toukei_2014.html

GDP改訂前後のデータを比較する
(クリックすれば拡大します)

第二次安部政権が誕生してからの経済成長率の変更(改訂)を見るために、2013年第1四半期〜2014年第1四半期までの5期分の差をとってみたのですが、これらを合計するとマイナス0.6%となります。

つまり、今回データが改訂される前に比べ、第二次安部政権誕生以降5期分の成長率は相当低いことが明らかになったのです。表にあるとおり、この5期分の平均成長率(前期比年率)は3.30%とされていたのが、8月の改訂で3.18%まで下がっています。

図表2は「6月発表時データ」と「8月発表時データ」の違いを実質GDPの絶対額として示したものです。「6月発表時データ」では第二次安部政権スタート直前期から2014年1〜3月期までに、実質GDPは514兆8900億円⇒536兆1,220億円へと4.124%増とされていたのが、「8月発表時データ」では514兆6940億円⇒535兆1070億円へと3.966%の伸びにとどまっています。その差は絶対値で1兆円を超えているのですね。

多くの経済データは前期比、前年同期比というように過去のデータからの変化率として示されます。その場合、過去データに修正が加えられた場合にはそれを同時に報じなければ、新しく発表されたデータについて正しい判断ができないのは当然ですね。にもかかわらず、最も重要なGDP統計においてそれが欠落していることは一体何を意味するのでしょうか?

まさか、そんな基本的なことを承知していない記者が新聞記事を書いているとはとても思えないのですが。もしそうだとすれば、記者クラブでレクを行う内閣府の広報担当官は、過去データが改訂されたことの重要性につき、改めてに記者諸君に注意を喚起すべきではないのでしょうか?
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角川総一
金融教育、金融評論家。
(株)金融データシステム代表取締役。1949年大阪生まれ。
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