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2014年07月25日(金)|18:17|経済データ探検隊(初級編)

経済データ探検隊 4話 なぜ貿易赤字の実績は常に予想値を上回るのか

経済データを読む基本の1つが「事前予想値に比べて実績値はどうであったか」です。少なくとも欧米の信頼される経済統計データ発表記事ではこれは必須条件です。ロイター、WSJ、Bloomberg等の記事ではヘッドライン中に「estimate」という語が見えます。それほど「事前予想値に比べて」という視点が重要であるということなのです。

7月23日に発表された6月分の貿易統計(通関ベース)を見ていて改めて気づいたのですが、このところ「日本の貿易赤字額」の事前予想値が一方方向にブレまくっているのです。
なぜ貿易赤字の実績は予想を上回るのか
(クリックすると拡大します)

 
今年1〜6月の各月の貿易赤字(通関統計)の事前予想値と実績値を比較したのが図表1です。この間、実績値(赤字)が予想値よりも少なかったのは5月だけ。それ以外は常に実績値は事前予想値を上回っているのです。「あれ、そんなに赤字は大きかったんだ」ってわけです

つまり、事前予想を行う人(機関)は平均的に、実際よりも「輸出額が多く」「輸入額が少ない」と読んでいたことになります。これだけの期間、常に貿易赤字を過小に見積もってきたエコノミスト(の平均的な見方)は、明らかに現実を読み違っていると言うべきです。

さてなぜか?推測の域を出ないのですが、おそらくわが国産業の現地生産比率が急増していることを過小に見積もっているためでしょう。現地生産力が高まれば、国内からの輸出力が減退するのは当然です。昨年の今頃、首相官邸から「これだけの円安なのになぜ輸出数量が増えないのか」と有力シンクタンクに対して問い合わせが相次いだことを思い起こさせます。

つまり、2008年のリーマンショック以降数年間におけるわが国企業の生産拠点の海外移転の実態、海外拠点が日本国内の関連企業からではなく、現地企業からの資本財、部品などの仕入れを増やしていることへの認識が多分、足りなかったことを推測させます。

もう一つは、輸入金額が想定以上であったと予想していたと思われる点についてです。予想以上に円安が進行したのであれば、予想値以上に輸入額が膨らみ、貿易赤字が増加するのは当然です。しかし、少なくとも今年1月〜6月の間には、円相場はむしろ円高方向です。図表1にある通りです。貿易赤字である以上、円高は輸出金額を減少させる効果よりも、輸入金額を減らす効果のほうが大きいと考えられます。

以上を総括すると、わが国のエコノミスト(の平均)は貿易赤字に関しては引き続き、現実よりも少なめに見積もっている可能性が高い、とみておいた方がよそさうです。

さてその事前予想値のベースとなるデータは誰が提供したものなのでしょうか?わが国の場合(そして特に日本経済新聞の場合)、日本経済研究センターが毎月定期的に発表する「フォーキャスト」がベースになっていると思われます。下記にその調査機関名、エコノミスト名が記されているので閲覧できます。さあ。ここでちょっと私は違和感を感じるのです。なぜか。この顔ぶれ?ちょっと偏向してはいませんか?

ザット数え上げただけでも全42名(機関)中、最多は証券会社所属で15名、ついで銀行が10名、事業会社系が5名、資産運用会社、保険会社が各4名、そのほかが4名です。以上の金融機関系のエコノミストが33名、全体の80%を占めているのです。

これはちょっとバランスを欠くと言うべきでしょう。これらの金融機関はいずれも、金融商品の販売者です。であれば円高よりは円安を好み、株価については中立的な見方以上に強気であることを選び、中央銀行の金融政策についてはより緩和色の強い方向を好みがちであることは容易に想像されます。私は、もう少し特定の業種に偏らない機関のエコノミスト並びに事業法人系のエコノミスト(とりわけ内需関連企業所属)の比率を高めることが必要ではないかと思うのです。

ちなみに、日本経済新聞では記事中に「QICK調査による事前予想値」が紹介されることがあります。このベースになる数値は「30以上の経済研究所」からの提供によるものと、WEBサイト上では掲示されていますが、同社はその詳細は一切公開していません。

私は海外の事情には疎いのですが、前述のロイター、WSJ、Bloomberg等が報じる「estimate」の元になるデータを提供しているのはどんな機関、エコノミストなのでしょうか?ご存知の方がいらっしゃいましたら、ご示唆いただければ嬉しく思います。
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角川総一
金融教育、金融評論家。
(株)金融データシステム代表取締役。1949年大阪生まれ。
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