notifications経済金融データ」で「マクロ経済指標」「マーケット指標」PDFをダウンロードできます。

notificationsツイッター「経済は連想ゲームだ」を配信中です。

『超入門 5分で日本経済一周の旅ガイド』注釈

角川総一オフィシャルサイト

『実況ライブ 日経電子版の歩き方 88のマーケットチャートを連想ゲームで全チェック』注釈

角川総一オフィシャルサイト

『もう古い常識には騙されない 8つの経済常識・新旧対照表』注釈

角川総一オフィシャルサイト

2000年06月26日(月)|11:07|Kindle注釈メモ『実況ライブ 日経電子版の歩き方』

実況ライブ 日経電子版の歩き方 88のマーケットチャートを連想ゲームで全チェック

注釈メモ「実況ライブ 日経電子版の歩き方」

 

円インデックスだとそれほどの円安じゃない!

私たちがごく普通に「円相場」と呼んでいるのがドル円相場。これと、円の総合的な実力を示す円インデックスの動きがどれだけ違うのか。これを示しているのがこの図です。

注意が必要なのは目盛の読み方。通常のドル円相場だと数字が大きくなれば円安。このチャートでは左軸です。下へ行くほど円安です。これに対して右軸は円のインデックス。数字が若いほうが円安ですからやはり下へ行くほど円安にしてあります。


2013年のアベノミクススタート時以降でみると、1ドル=90円から110円まで大幅な円安(20%)なのですが、円のインデックスは107ポイントから101ポイントへわずかな円安(6%)にとどまっています。

円安、と一口に言ってもずいぶん印象が違うでしょ。
あるいは、2014年4月の消費増税時を起点にすると、2018年半ばまではドル円相場でみれば円はほとんど同水準なのですが、円のインデックスだと明らかに「円高」が進んだことになるのです。

​​円インデックスだとそれほどの円安じゃない!

 

☆     ☆     ☆

 

円相場は”炭鉱のカナリヤ”である

実はこの為替相場。とても深〜い意味があります。それは「円相場は“炭鉱のカナリヤ”のようなもの」だからです。

円高・円安は世界全体の不安心理を忠実に反映するのです。特に短期的に円高が進んだときには、世界のどこかで何か人々を不安にさせることが起こっている、ことが多い。注意が必要なのです。

世界全体の不安をいち早く察知してくれるのが、円相場っていうわけです。
むかし、炭鉱には籠がつるされ、中には数羽のカナリヤが入っていたといいます。北海道は夕張を舞台にした「幸福の黄色いハンカチ」(1977年松竹)の世界ですね。

カナリヤは有毒ガスにとても敏感。だから人がまだ気づかないレベルでも有毒ガスなどを感知すれば、止まり木からコトリと落ちてしまう。小鳥がコトリ、なんてね。円相場はそんなカナリヤのようなもの、というわけです。

とくに円高が急に進んだときには要注意です。まず間違いなく世界で何かしら不安の種になるイベント(事件)が起きています。

図で分かるとおり、かのリーマンショックはもちろんのこと、ギリシャ問題に端を発した欧州財政危機、英国のEU離脱決定時など、いずれも一気に円高が新興していることが分かります。

p20.円相場は”炭鉱のカナリヤ”である

 

☆     ☆     ☆     

 

これで分かった!購買力平価説

二国間の為替相場は、各国の通貨の購買力により決まるという考え方がこれです。もう少し砕いて言うと「物価が上がっている国の通貨は下がる」ということ。

しかし、この説明は直感的にはどうも分かりにくい。こういう方が多いようです。そこで以下3つの方法でその理由、原理をお話します。


その1。「インフレ率が高い」国の通貨は「購買力が低下」していることを意味します。りんごが100円から200円になった。100円でりんご1個が買えたのに、半分しか買えなくなった。これは直ちにお金の価値が下がったということです。購買力=モノを買う力が落ちている通貨は、売られて安くなるのは当たり前です。


2つめ。言い方を変えてみましょう。高いインフレ率により、物価が割高になった国の住民は、同じものでもより値段が安い国から輸入する。貿易が自由に行われる限り、これが合理的な行動です。この場合「輸入に伴い自国通貨を売る。だから自国通貨安となる」と言ってもいいですね。物価高の国の通貨価値は下がる。


3つ目の説明。たとえば日本でビッグマックが360円、同じものが米国で3ドルであれば、360円と3ドルで全く同じものが買えるわけですから、3ドル=360円、すなわち1ドル=120円が合理的な為替相場です。ここで、米国のビッグマックだけが4ドルに上がったとする。この時には1ドル=90円が合理的です。

この合理的な考えだと、インフレ率が高い通貨が下落するのは当然です。中長期的な為替相場を説明するに際して有効な考え方だとされますが、残念なことに、短期的な為替相場の変動はこれで説明できることはあまりない。

もっとも、中期的には明らかにこの仮説は有効です。もう少し後で(「6時間目:金利からの連想ゲームことはじめ」中に設置したリンク先)でごらんいただきます。

(と言ってもこらえ性のない方?は、この注釈メモを下にスクロールしていけば、「高金利通貨は売られて下がるのが当たり前」でごらんいただけます)。

 

☆     ☆     ☆     

 

円高が日本株に与える負の影響が弱まってきた理由

2008年9月に勃発したリーマンショックの後、円高が急速に進む過程でわが国の製造業は予想以上に生産拠点の海外への移転を進めた。と同時に、海外に移した工場で生産するための部品、部材などの現地調達が加速した。

つまり、日本からの輸出が総じて減少していたのです。輸出が減れば円高の影響が薄まるのは当然でした。
2つめには、日本からの輸出品の顔ぶれが変わってきていた。一言で言うと、高品位製品の割合が高くなったのです。

たとえば洗濯機、冷蔵庫、炊飯器などの白物家電。韓国や中国などの企業と競合するこれらの製品は、円高だからといって値段を上げれば販売台数は減る。しかし、日本国内ではすでにこの手の製品はほとんど作っておらず、もちろん輸出も激減した。


それどころか、多くの家電メーカーが白物家電にとどまらずテレビ、エアコン、デジタルカメラなどの視聴覚機器の多くを海外に移転させました。その結果、これらの製品は輸出品ではなく、輸入品と化していたのです。円高はむしろこれらの輸入にとってはプラスに働きます。


こうしてわが国の電機、化学、デジタル機器関連企業等は高付加価値製品のみを国内に残すという戦略で臨んだのです。その象徴がスマートフォンに組込む小型モーター、液晶パネル、カメラセンサー、リチウム電池、時計部材等の高付加価値製品でした。つまりこれら製品の輸出シェアが高まってきていた。

海外企業とのほとんど競合しないこれらの製品は、輸出先の海外から見れば「値上げされたって必要なものは輸入せざるを得ない」。つまり、円高でも競争力はほとんど落ちない。日本全体としては円高でも株は下がりにくくなるのは当然だったのです。

*以上を裏付けるチャートは、「9章:特別付録「スマートチャートプラスβ版」を使う」の中でご紹介します。楽しみに待っていてください。

 

☆     ☆     ☆

 

平均配当利回りとTOPIXの関係

リーマンショック後の株価急落時には一時2.5%以上と言う”異常な”水準にまで上がったことがある平均配当利回り。しかしその後株価が落ち着きを取り戻してからは、1.5%から2%前半で推移しています。

株価と逆相関なのは当然ですが、相当きれいな逆相関を示していると言うことは、株価変動にもかかわらず配当は比較的安定していることを示しています。

株価が下がった⇒すわ、不景気だから配当も大幅に下げよう、となれば、配当利回りはそれほど変化しないはずなのですから。

p24.平均配当利回りとTOPIXの推移.jpg

 

☆     ☆     ☆

 

PER(株価収益率)とTOPIXの関係

2009年半ばからの1年間は空白状態。これは、東証一部上場全企業ベースでも企業の税引き後利益はマイナスであったことを示します。

2008年9月に勃発したリーマンショック後の金融、経済危機はそれほど重大なものであったことが分かります。

2015年以降は、株価(TOPIX)の上昇に比べPERの上昇が緩やかです。これは、「株価が急進している割にはPERは上がっていない=過熱感はない」ことを示しています。つまり、企業利益が株価の上昇ピッチ以上に拡大していることを示します。

2018年半ば時点では、リーマンショックの原因となったサブプライムローン問題が表面化する前の2006~2007年前半に比べると、PERでみる限り過熱感はない、と言っていいでしょう。

p24.PER(株価収益率)とTOPIXの推移.jpg

 

☆     ☆     ☆

 

PBR(株価純資産倍率)とTOPIXの関係

2008年のリーマンショック後4年ばかりは、理論上の壁であるはずの1倍を割り込んでいたPBRですが、アベノミクス後の株価上昇で1倍を上回り、1.4倍近辺まで改善してきています。

リーマンショックの引き金を引いたサブプライムローン問題が表面化した2007年半ば以前の水準にまで戻した、といったところです。

p24.PBR(株価純資産倍率)とTOPIXの推移.jpg


☆     ☆     ☆

 

これで分かった!債券が売られると利回りが上がる理由

これは金融、債券の初歩で多くの人がつまずく箇所です。多分「売られると価値が下がるんでしょ」「価値が下がるってことは、利回りが下がるってことでしょ」という思いがあるのでしょうね。

ここでちゃんとお話しておきます。これが分からなければ、金利を巡るメカニズムのうちもっとも大事なことが理解できないからです。つまり先に進まない。


<分かる方法その1>。債券というものは、毎年受け取れる利子と、満期になれば受け取れる金額(額面)が決まっている。それは、いくらで買おうが関係ない。であれば、安く買えたほうが、利回りは高いに決まっている。


<分かる方法その2>。以上に簡単な数字を入れてみます。期間2年、利率3%、額面100万円の債券がある。額面100万円で利率3%だから、年に3万円の利子が手に入る。これを持っていると、満期までに106万円が受け取れる。

この債券、朝方は100万円だったが、午後になって価格が下がり90万円になった。利回りは上がったでしょ。計算しなくも分かる。


<分かる方法その3>。金利が上がり、より利回りの高い債券が新しく発行された。この時、すでに発行されていた低い利回りの債券は、魅力がなくなって売られる。売られれば価格は下がる。

ほら、金利が上がっているときには債券の価格は下がっている。逆に言えば、債券の価格が下がっているときには金利は上がっている。「金利が上がれば債券価格は下がる」とも言えるのです。
 

☆     ☆     ☆

 

リーマンショックとは何だったのか

2008年9月15日、米国でトップクラスの米国の投資銀行(リーマン・ブラザーズ)が倒産、100年に一度の金融危機だとして世界を震撼させました。

直接の原因は米国の不動産価格が急落して、住宅ローンを払えなくなった人が大勢でたこと。彼らは従来だったらとても住宅ローンを借りられない=審査に通らない=ような、あまりお金を持たない人たちでした。

彼らに対しても、米国の銀行はゆる〜い基準でどんどん貸し付けていたのです。これがサブプライムローン。
プライム(prime)とは「優良な」。サブ(sub)は「補欠」。つまり「サブプライム」とは優良だとは言えないといった程度の意味です。

この時期、米国では銀行、借り手ともに「土地の価格は上がり続ける」と信じ込んでいけいけドンドンだったんですね。まるで1980年代なかば頃、日本がバブル経済真っ只中にいた頃の事情と同じでした。


ところが、景気が過熱する危険があると判断した米国の中央銀行(FRB)は、金利を上げ始めた。2004年半ばのことです。1.0%だった政策金利が、2007年には5.25%まで引き上げられたのです。「利上げ」ですね。

これがきっかけになり、米国の不動産価格が急落した。詳しい仕組みは略しますが、この住宅ローンの保証を行っていた欧米各国の金融機関の経営が、軒並み危機的状況に陥った。そして、その象徴的な出来事が2008年9月のリーマンショックというわけです。

 

☆     ☆     ☆

 

インフレ時には金利は上がるのが当然だった

「インフレ時には金利は上がる」にもかかわらず「預金はインフレに弱い」というプロパガンダが長年にわたって多くのマスコミ誌上で説かれた。情報の主な発信者は投信会社、証券会社、銀行、商品取引会社、不動産会社などでした。そのココロは「預貯金をやめて株式投信や賃貸用アパートなどの投資に目覚めなさい」でした。

そして多く人はそれを信じた。多分「預金の多くは定期預金」⇒「定期預金は固定金利」⇒「インフレになれば低い利率の定期預金は目減りする」⇒「預金はインフレに弱い」という思いがあったのでしょう。

しかし、多くの人は定期預金は1年~2年物でしょ。ということは、1~2年の満期のたびに新しい定期を組むのが普通だったのですね。ではそのときの利率はどうなっているか?

下図に見るとおりです。「インフレ時には金利は上がる」であるだけではなく、ほとんどの時期において預金金利>インフレ率だったのです。

ただしインフレ率のほうが預金金利を上回った時期が5回あります。

1980年の第二次オイルショック1997年の消費税率引上げ(3%⇒5%)

2008年の中国など新興諸国の急速な工業化で原油価格が急騰

2014年の消費税率引上げ(5%⇒8%)

2017年以降のマイナス金利政策と原油などの上昇

しかしいずれも1年程度で収束しています。

ということは、これらのやや特殊な時期を除けば、預金はある程度のインフレヘッジ機能を果たしてきたのです。

ただし、これからはちょっと様相が異なる。まだまだ超低金利は続きます。一方では1%程度のインフレは続きそう。つまり、物価が上がっても金利は上がらないという異常な世界が続きそうなのです。

p43.インフレ時には金利が上がるのが当然だった.jpg

 

☆     ☆     ☆

 

高金利通貨は売られて下がるのが当たり前

「金利の高い国はインフレ率が高い」⇒「インフレ率の高い国の通貨は中期的に売られて安くなる」⇒「高金利通貨は中期的には為替層が下落するのが原則」。本文ではこうお話しました。

下図はそれをよく示しています。リーマンショックによる世界経済の混乱が、ひとまず収束したのが2010年。この年初の高金利通貨の対ドル相場を100とした上で、その後の動きを指数として描いておきました。

ちなみに、この2010年~2018年の間の各通貨の政策金利の平均はオーストラリア(2.8%)、ブラジル(10.7%)、インド(7.0%)、ロシア(8.9%)です。もちろん世界でもトップクラスの高さです。

各通貨の対ドル相場の指数の推移に注目してください。オーストラリアドルでさえ、これまでに20%下落、ブラジルレアル、ロシアルーブルに至っては半値以下にまで下がってきているのですから。

「高金利につられて投資すると、為替で痛い目にあいますよ」ということをよく示しています。

​​p20.高金利通貨は売られて下がるのが原則だ

 

☆     ☆     ☆ 

 

CRB指数をなぞる米国のインフレ率

いずれも前年比の増減率を示しておきました。米国の消費者物価指数はほとんどCRB指数の後追い状態であることが明らかですね。ほとんどの時期において1~3ヶ月くらい遅れて反応している。いやいやこれほどまでにきれいに連動しているとは。

しかも、チャートの上限と下限の目盛りで分かることがあります。それは、CRB指数の100%の変化がおおむね米消費者物価指数の8%のブレに対応していることです。

ということはたとえばCRB指数が前年比で10%変動すれば、やや遅れて米国の消費者物価は0.8%程度同じ方向で後追いすると予想できるのです。

予想できれば何か良いことがあるのか?はい!たとえば20%程度CRB指数が上がったとしましょう。

すると「数ヶ月以内には消費者物価も105〜2%くらいはいまよりも高くなるかもね」⇒「FRB(連邦準備制度理事会)は金融を引き締め気味にスイッチを入れなおすかも知れない」⇒「だとそれを見越してドルが買われ、ドル高円安に進むかな?」といったイメージが浮かび上がってくる。

であるなら、CRBの動きには時々注意しておいたほうが良いでしょうね。

p47.CRB指数をなぞる米国のインフレ率.jpg

 

☆     ☆     ☆ 

 

商品指数は数か月〜半年後に消費者物価に反映

素材が上がれば製品価格も上がる。当然といえば当然です。一般には、原材料⇒中間部品⇒最終消費財、という順に価格の動きは波及していくのですから。

ただし、それがどの程度のタイムラグを置いて、どの程度の率で連動するかは、その時々の需給バランスいかんです。

この図は2018年7月初旬に描いたのですが、これで見る限り、2018年に入ってから商品指数は伸び悩み気味。

経験則からいえば、そろそろ消費者物価の上昇ピッチにも陰りが出てくると予想されるのですが、どうでしょうか?(と、2018年9月以降にこのグラフをご覧になっている方に尋ねたいところです)。

​​商品指数は数か月〜半年後に消費者物価に反映

 

☆     ☆     ☆

 

商品指数が上がるのは景気がいい証拠?

いま最も旧来の常識のうち、現実妥当性を持たなくなってきたのが、物価を巡るさまざまな経済メカニズムです。

「景気のいいときには物価は上がる」。これが教科書的な解釈です。そのココロは「物価が上がるとは需要が旺盛である証拠」⇒「個人は消費を増やし、企業は設備投資、人件費投資を積極的に行う」⇒「それによって生産が刺激され、賃金は上がり」⇒「つまりは景気が良くなる」。

では国内での物価を見る場合、そのもっとも源流に位置する日経商品指数と景気を端的に示すGDPの伸びを重ねて描けば、どんな絵柄が現れるか?

「残念!」ですね。ほとんど8割の時期において逆ではないですか。物価が上がったとは言っても、GDPの伸びにはつながっていない。むしろ物価が上がったことがネックになって、景気の足元を揺るがせている、と読めるのです。

おそらくこれは、わが国の物価を根本的に動かしているのは、国内での需給バランスではなく、海外の商品市況とドル円相場の2つの要因だからでしょう。つまり、需給バランスが国内物価を動かすのではない。これは私たちの経験に照らしてもよ〜く納得できるところでしょ。

「個人消費が活発で、企業の設備投資意欲も旺盛だから物価が上がった」。こんな文脈を見た記憶はない方がほとんどでしょう。

海外発の物価上昇だと、これは国内の購買力を引下げます。そしてそれは景気にはマイナスに働く。いまや、物価と景気の相関についてはこのようにイメージしたほうがいい。

あわせて2つ先の図「日本では1.5%以上インフレ時は景気失速!」もぜひご覧ください。

p50.商品指数が上がるのは景気がいい証拠?.jpg

 

☆     ☆     ☆ 

 

原油価格と逆行することが多いドル円相場

原油価格が上がった。この時「スワ、米ドルは下げたか?」と反応すればいいことが、この図から分かります。

少なくともドル円で見る限り、ドルと原油価格とは逆行している時期が多いのです。さてこれは何を意味しているのでしょうか?

まずは、ドルが安くなれば、ドル圏以外で経済を営んでいる国の人々にとって、原油価格は安くなる。原油の国際取引はドルで行われています。

 

1ドル=200円から100円になれば、1バーレル=60ドルの原油の買値は、1万2000円から6000円になる。であれば、もうちょっと余分に買っておこうか、となり、需給が逼迫して原油価格が上がる。

2つ目は原油が上がれば中東産油国だけではなく、北海油田を持つ英国他北欧の国、ロシア、アフリカの貿易黒字が増える。つまりこれらの国の通貨が上がり、逆にドルが下がる。

シェールオイル、ガスを大量に算出するに至った米国だけど、国全体としてはまだまだ原油の輸入国です。しかも、極端な車社会だから、ガソリンの消費量が半端ではない。つまり、原油高は米国の貿易収支を悪化させ、景気の足を引っ張ることが多い。この面からもドル安が進みがちなのです。

p57.原油価格と逆行することが多いドル円相場.jpg

 

☆     ☆     ☆

 

日本では1.5%以上インフレ時は景気失速!

我が国の物価(消費者物価上昇率)と景気(GDP)を、過去40年にわたってトレースしてみました。

 銑イ泙任離魯ぅ薀ぅ班分はいずれも物価が1.5%以上上がった時です。それぞれ理由も示しておきました。これらの時期にはいずれもGDPは失速していることがわかります。

物価上昇の理由をみればそのワケは簡単です。原油価格の上昇、消費税の引き上げなどによって国内の購買力が減価し、それが景気を押し下げたのです。つまり、我が国ではもう40年にわたって、「需要が増えたために、1.5%以上物価が上昇した」という経験を持っていないのです。

p50.年1.5%以上インフレ時は景気失速!.jpg

 

☆     ☆     ☆

 

米ドル高で新興国経済変調⇒株価は下落

米ドルが持続的に上がっているときには、たいてい新興国の経済は変調をきたし、株価が下げることが多い。特にインフレ率が高く、貿易収支は赤字、成長資金の多くを米国などに依存している脆弱な国々。その代表がフラジャイル5と呼ばれるインド、インドネシア、トルコ、ブラジル、南アフリカです。

これらの通貨は基盤が脆弱なので、ドルがドンドン高くなると国内資金が海外に流出する。産業資金が不足し、国内では通貨安に伴って物価が上がる。通貨安ならびに物価高を抑えようとして金利を引き上げる。

そうすると、これが企業の首を締める。経済が疲弊して株価は下がる。株が下がればさらに資金の国外流出が促される。こんな悪循環が起きるというのが、これまで私たちが経験してきたことです。

まだある。国内の産業資金の多くをドル資金の借り入れでまかなっているということは、ドル高で実質的な負担が増えること意味します。分かりやすいように日本円の例で言うと、次のようになる。

1ドル=100円のときに1億ドルを借りていた。国内に持ち込んで100億円として使っている。しかし、1ドル=200円のドル高になった。この時点で、1億ドル返済するためには200億円が必要です。200億円を1億ドルに換えて、それを返すことになる。これじゃやっていられない。これが「ドル高で新興国のドル負債の実質コストが膨れ上がる」ということです。

こうした新興・途上国の経済の変調が世界経済を不況に導くことを、私たちは幾度となく経験してきています。1997年のタイバーツ急落をきっかけとしたアジア通貨危機が、その後の世界不況を招いたことは記憶に新しい?ところです。

2018年半ば、このドル高・新興・途上国通貨安、株安が世界経済の失速要因として注目を浴び始めています。

p57.米ドル高で新興国経済変調⇒株価は下落.jpg

 

 

 

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
ブログのカテゴリー
記事総数:380件
最新の記事
月別アーカイブ
角川総一
金融教育、金融評論家。
(株)金融データシステム代表取締役。1949年大阪生まれ。
プロフィール
連絡先
「知るぽると(金融広報中央委員会)」掲載記事
経済指標の見方
金融指標の見方

「知るぽると」ホーム
新 刊




角川総一の本
角川総一の本
角川総一の本
角川総一の本
角川総一の本
角川総一の本
角川総一の本
サイト内検索
RSS
Twitter 経済は連想ゲームだ! Facebook